Google Cloud Next’23のOpening Keynoteで発表されたAI/MLサービス関連トピックまとめ #GoogleCloudNext
データアナリティクス事業本部 インテグレーション部 機械学習チームの貞松です。
2023年8月30日の2:30(JST)開始のOpening Keynoteを皮切りに、Google Cloud Next'23が開幕しました。
本投稿では、Opening Keynoteで発表された内容から、AI/MLサービス関連のトピックをピックアップしてまとめます。
正直Opening Keynote全体がほぼAI/ML関連の話しかしていないので、ここではGoogle Cloud上のAI/MLサービスに関連するトピックに絞り込んで、少しでも見易く、わかりやすくすることを目的とします。
(最新の公式ブログやドキュメントをザッと確認した限り、情報が分散してて分かりにくかったり、ある一部分にしか書かれていない情報などもあったので…)
具体的にどのサービスに関連したトピックか、新機能の発表については一般提供なのかプレビューなのか、などで切り分けながらまとめていきます。
Opening Keynote全体の内容
Opening Keynote全体の内容については、前述のNext'23イベントページからデジタル参加者で登録していただいてオンデマンド配信を視聴していただくのが一番ですが、下記の公式ブログでもザックリした発表内容を確認することができます。
AI/ML関連のトピック
Duet AI関連
Workspaces上のDuet AI (一般提供)
5月のGoogle I/Oで発表され、生成AIを活用した、Google Workspacesの非常に強力な機能としてプレビュー提供されていたDuet AIの一般提供が開始されました。
また、このタイミングで幾つかの新機能が追加されています。
- Duet AI in Google Meet
- Duet AIがビデオ通話中にメモを取り、会議の概要を送信し、18ヶ国語でキャプションの自動翻訳も行います。
- すべての会議参加者が、クリアな音声、映像により、明確に内容を理解できるようにする為に、Duet AI in Google Meetは、studio look、studio lighting、studio soundの機能を提供します。
- Duet AI in Google Chat
- Duet AIと直接チャットして、コンテンツについて質問したり、スペースで共有されているドキュメントの概要を取得したり、見逃した会話を確認したりできます。
- 更新されたユーザーインターフェイス、新しいショートカット、強化された検索により、会話を常に把握できるようになりました。
- チームが既に共同作業している場所から会議を開始できるハドルも提供します。
その他のサービスに対するDuet AI (プレビュー)
Workspaces以外のGoogle Cloud上のサービスに対して、Duet AIを拡張した機能をプレビュー提供することが発表されました。
2023年後半の一般提供開始を予定している模様です。
詳細は下記の公式ブログをご参照いただきたいのですが、AI/MLサービス関連で言うと、後述のColab EnterpriseやBigQuery StudioもDuet AIの機能提供対象となっており、AIサービスの恩恵を受けながらAIサービスを開発するという状況が目前まで迫ってきている状況です。
Vertex AI関連
Vertex AI関連の新機能やアップデートについては、下記公式ブログでザックリ概要を押さえた上で、それぞれのトピックについての詳細を他の公式ブログやドキュメントで押さえていきます。
Model Garden上の新しいLLM (一般提供)
Vertex AIのModel Gardenは、GoogleやGoogleパートナーによって予め用意された学習済みモデルを取得して利用したり、API経由で使用することができます(一部ファインチューニングも可能)
Model Gardenのアップデートにより、新たにLlama 2、Code Llama、Falcon LLMが追加されました。
また、今後Claude 2が追加されることも発表されています。
既存モデルのアップデートおよびモデルのチューニングに関するアップデート
Googleの既存モデル3種について、下記のアップデートがありました。
- PaLM 2
- PaLMで38言語の一般提供を発表し、顧客が独自のエンタープライズデータ、またはプライベートコーパスを使用して応答をグラウンディングできるようにします。
- より長い質問と回答のチャットをサポートし、研究論文、書籍、法律準備書などの大きな文書を要約および分析するために、テキストおよびチャット用の新しいバージョンのPaLM 2は、85ページの文書を含めるのに十分な32,000トークンのコンテキストウィンドウをサポートします。
- Codey
- Codeyの性能が、コード生成とコードチャットでサポートされている主要言語で最大25%向上しました。
- Imagen
- 画像編集、キャプション、視覚的な質疑応答などの機能を追加しました。
- DeepMind SynthIDを利用した、実験的な電子透かし機能を発表しました。
また、モデルのチューニングについて、テキスト用のPaLM 2で一般提供されているアダプターチューニングや、パブリックプレビュー段階にあるヒューマンフィードバックによる強化学習(RLHF)以外に、Imagenの新機能として、10枚以下の画像でブランドガイドラインに合わせて画像をさらに調整するスタイルチューニングが発表されました。
Vertex AI Extensions (2023年後半に提供予定)
Vertex AI Extensionsは、モデルをAPIに接続して、リアルタイムデータと現実世界のアクションを実現する、拡張機能用のフルマネージド開発者ツールのセットです。
開発者は、拡張機能を使用して、デジタルアシスタント、検索エンジン、自動ワークフローなどの強力な生成AIアプリケーションを構築することができます。
Vertex AI Search and Conversation (一般提供)
Vertex AI SearchとVertex AI Conversationについては「一般提供開始」とアナウンスされているのですが、現段階で利用方法が発見できませんでした。これについては、詳細判明次第、更新したいと思います(Generative AI app builderに関する申請、登録が必要?)
2023.09.04 [update] Google Cloudコンソールの検索バーから「Vertex AI Search and Conversation」で検索すると、サックリGen AI App Builderを有効化することができました。
「Vertex AI Search and Conversation」で検索。
Gen AI App Builderを有効化。
Create Appから、新規アプリの作成を開始(「検索」がVertex AI Search、「チャット」がVertex AI Conversation)
それぞれの機能の概要は以下の通りです。
- Vertex AI Search
- 基盤モデルを活用したGoogle検索品質のマルチモーダル、マルチターン検索アプリケーションをセットアップできます。
- これには、出力をエンタープライズデータのみに統合したり、エンタープライズデータを使用して基盤モデルの初期トレーニングを補完したりする機能が含まれます。
- Vertex AI Conversation
- 会話音声とテキストの両方をサポートする基礎モデルを活用した、自然な響きで人間のようなチャットボットとボイスボットの作成を容易にします。
- 開発者は数回クリックするだけで、Webサイトやドキュメントのコレクションに基づいてチャットボットを構築できます。
- さらにカスタマイズする場合、Vertex AIを使用して、決定論的なワークフローと生成的な出力を組み合わせ、ルールベースのプロセスと動的AIを組み合わせて、魅力的でありながら信頼性の高いアプリを作成できます。
詳細は下記の公式ブログをご参照ください。
Colab Enterprise (プレビュー)
Colab Enterpriseの発表に関する公式ブログは下記。
Colab Enterpriseは、パブリックプレビューとして提供され、9月に一般提供を予定している模様です。
機能の概要は以下の通りです。
- Colabノートブックの使いやすさと、エンタープライズレベルのセキュリティおよびコンプライアンスサポート機能を組み合わせたマネージドサービスを提供します。
- Colab Enterpriseを使用して、Vertex AIプラットフォームの全機能へのアクセス、データへの直接アクセスのためのBigQueryとの統合、さらにはコードの補完と生成など、AIワークフローを共同で加速することができます。
また、Colab Enterpriseは、従来のColabとは主に管理面での差異がある為、その点注意が必要です。
Colab Enterpriseは、現時点でVertex AIのコンソール画面からサクッと使用することができます。
BigQuery(BigQuery ML)関連
BigQuery Studio (プレビュー)
BigQuery Studioは、BigQueryの為の単一の統合インターフェースを提供します。
- データエンジニアリング、分析、予測分析を統合できるようになり、ツールを切り替えることなく、データチームがエンドツーエンドのワークフロー全体で作業する方法が簡素化されます。
- Colab EnterpriseやDuet AIと統合されており、データエンジニアリングや機械学習に関する統合開発環境としての利用が期待できます。
現時点でBigQuery Studioを使用する場合は、プレビュー利用申請が必要です(下記ドキュメントページの「To enroll in this preview, complete the enrollment form.」部分のリンクから)
詳細については、下記公式ブログ、およびドキュメントをご参照ください。
※2023.08.31 [update] BigQuery Studioの発表に関する公式ブログのリンクを追加しました。
まとめ
予想はされていたものの、今回のNext'23 Opening KeynoteはほぼAI/ML Keynoteと言っても過言では無いほどAI/MLのトピックで埋め尽くされていました。
ザックリと全体を把握するだけでもかなりボリュームがある為、敢えてAI/MLサービスに関連するトピックでまとめてみましたが、それでも例年と比較してかなりの物量ですね。
本投稿が少しでも最新情報をキャッチアップする助けになれば幸いです。